新年あけましておめでとうございます。
新年早々耳が痛いお話で恐縮ですが、もうすぐ確定申告の季節になります。
確定申告は単に所得税を計算するだけの手続ではありません。
皆様の1年間の「所得」を決める手続です。皆様の「所得」は多方面に影響があります。
① 住民税
住民税は所得に比例して高くなります。所得税と違って一律10%です。
② 個人事業税
一部の業種を除き、確定申告が必要な事業所得と不動産所得には個人事業税がかかります。
税率は一部の業種を除き一律5%で、税額は所得に比例します。個人事業税は支払った時の
必要経費にできるので、翌年の確定申告で忘れないように計上されてください。
③ 国民健康保険料(後期高齢者医療保険料を含む)
④ 国民健康保険(同上)の負担割合
⑤ 介護保険料
⑥ 介護保険の負担割合
公的な保険料と負担割合は所得によって決まります。保険料についてはどちらも上限があり
ます。判定が世帯ごとだったり個人単位だったりと非常に複雑です。
⑦ 保育料
認可保育園の保育料は夫婦合計の所得によります。高い方の区分だと、認可外保育園の方が保
育料が安いことさえあります。
⑧ 高校無償化
所得が高い場合には無償化の対象外になります。
⑨ 児童手当
所得の高い世帯は児童一人当たり5,000円に切り下げられます。(扶養親族の数も影響します。)
また、この記事を書いている時点では、2022年から高所得者の切下げが5,000円ではなく0円
になりそうです。夫婦合算での判定は見送られましたが、今後改正されるかもしれません。
⑦~⑨は若い方が対象なので高所得の方は少ないかもしれませんが、実家から役員報酬などをもらっている場合には注意が必要です。
余談にはなりますが、介護保険の負担割合が高い方は世帯分離をご検討ください。
例えば、お母さまは年金だけの要介護状態で、息子さんが不動産賃貸業で所得が多い場合などは、お母さまを世帯分離することで介護保険の負担を減らすことができます。住所が同じでも世帯分離はできますし、確定申告では老人扶養親族として控除できます。ただし、世帯分離はそれぞれの世帯主が独立した家計を営んでいるということが条件です。けっして介護費用の負担軽減を対象とした制度ではありませんので、その点はくれぐれもご注意ください。
2. 「所得」が低いと有利
① 国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)の減免
② 国民年金の減免
①②ともに所得が低い方については一定割合の減免がありますので、忘れずにご自身で申請を
行ってください。国民年金は未納と減免では将来違いが出てきます。
③ 保育料
認可保育園の保育料は夫婦の所得の合計によって決められています。所得が低いほど保育料は
安くなります。
④ 交通費の補助
福岡市の場合は所得が低い70歳以上の高齢者に対して一定額の補助が出ます。お住まいの自治
体が実施されているかどうかご確認ください。
3. 「所得」を減らす対策について
× 所得税の税額を減らす
医療費・ふるさと納税・小規模共済・iDeCoなどは所得控除なので、健康保険料などを下げる
効果はありません。ちなみに、ふるさと納税は、保育料や高校無償化には影響しませんが、iDeCo
は効果があります。
〇 経費を増やす
30万円未満の物品を買う、通信費や交通費など家計の支出のうち一部を経費化する等、経費を
増やせば、健康保険料を下げることができます。また、青色申告であれば65万円控除を行うことも
有効です。今回の確定申告(令和2年分)からはe-Taxをしないと最大でも55万円しか控除が受けられ
なくなります。ご自身で確定申告される方はご注意ください。
もう2020年は終わってしまったので今からできることは限られると思います。
しかし、確定申告で所得が確定するまでは勝負は終わりません。できることを頑張りましょう。
私は2020年末に2021年の保育料を減らそうとしていましたが、上の子が3歳になり保育料がタダになったのでほぼ徒労に終わりました。対策は効果的に行いましょう。