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相続法改正~②配偶者の権利保護~

2018.09.10

第1 配偶者の保護の拡大

少子高齢化により、夫が死亡し、相続が開始したときに、残された配偶者である妻も高齢者の場合が増えてきました。そのような場合、高齢者である妻が夫とともに住んでいた自宅の居住権などを保護しなければいけない必要性が増しています。

また、核家族化及び家族関係の多様化によって、相続人間の権利対立が生じる機会が増え、前妻の子と現在の妻(後妻)なども含めて家族間であっても、話し合いで解決することが困難なケースが増え、現行の法律上のもとでは、配偶者が十分保護されず、配偶者の保護を拡大する必要性がありました。そこで、今回の相続法の改正の一つの大きな目玉として、配偶者の権利拡大が図られました。

第2 配偶者の権利拡大を目指した今回の相続法改正の内容

今回の相続法改正によって、配偶者の権利の拡大が図られた主な制度としては、
①配偶者の短期居住権
②配偶者の長期居住権
③結婚20年以上の配偶者に対する住宅贈与 などです。

第3 短期居住権

今回の相続法改正で、配偶者の短期居住権が認められました(改正後の新民法1037条~1041条)。
短期居住権とは、配偶者が相続開始時(夫などの配偶者が死亡した時)に被相続人の建物を無償で使用(居住)していた場合に、遺産分割が成立するまでの間、無償で使用することができるという制度です。
 現行法においては、遺言もない場合に、被相続人が死亡してから、遺産分割協議が成立するまでの間、自宅に相続人の一人である妻が無償で居住できるのかで争われるケースがかなり存在しました。

この点、今までは、被相続人は自分が死亡後も、配偶者が遺産分割が成立するまでの間は自宅を無償で使用できる使用貸借権が設定されていたという理論によって配偶者の保護を事実上図っていました(最高裁平成8年12月17日判決)。 
 しかし、この判例によっても、自宅が第三者に遺贈されてしまった場合や、被相続人自身が妻に相続開始後に自宅を無償で使用することについて反対の意思を表示した場合は、使用貸借が推認されず、妻の居住が保護されないなど妻の居住権の保護が不十分でした。

 今回の法改正で、配偶者は、相続開始時に被相続人の建物に無償で住んでいた場合には、以下の期間、居住建物を無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を取得することになりました。

配偶者が居住建物の遺産分割に関与するときは、居住建物の帰属が確定する日までの間(ただし、最低6ヶ月間は保障)居住建物が第三者に遺贈された場合や、配偶者が相続放棄した場合には、居住建物の所有者から消滅請求を受けてから6ヶ月今回の法改正によって、配偶者は、自宅についての居住が最低6ヶ月以上保障されるようになり、被相続人が亡くなった後も、配偶者がいきなり家から追い出されるということがなくなりました。

 配偶者の短期居住権については、相続法改正の改正法案の公布日である2018年7月13日から2年以内の施行が予定されています。

第4 配偶者居住権

1 遺言又は遺産分割で妻の配偶者居住権が法改正で認められた(改正後の新民法1028条~1036条)
妻が夫が所有している自宅に住んでいる場合、夫が亡くなった後もその自宅に住み続けたいと考えるのが一般的です。
 今回の相続法改正により、妻が遺言或いは遺産分割で自宅の居住権が認められれば、妻が自宅の所有権を取得しなくても、居住権に基づき、自宅に死ぬまで居住することができるようになりました。

2 法改正による配偶者の配偶者居住権の創設により妻は預金などの生活資金を確保しやすくなった
夫が亡くなり、夫が遺言書を残さなかったとして、法定相続分で妻と子供一人で遺産分割するケースでは、
妻は遺産の2分の1を相続し、残りの2分の1は子供が相続します。
 例えば預貯金が2000万円で自宅の評価額が3000万円の場合、妻は2500万円、子供は2500万円を相続することになります。

このような場合、自宅を妻がもらう形だと、妻は法定相続分よりも多くもらうことになってしまいます。子供がそれで納得すれば良いですが、子供が少しでも多く現金が欲しい場合は納得しないので、法定相続分どおりに分けなければなりません。 しかし、自宅を分けることは出来ないので、法定相続分どおりに分けるには、自宅を売却して現金化する必要があります。

そうすると、妻は自宅を追い出されることになり、新たな住居を探さなければなりません。
現行制度では、配偶者には特に「居住権」が認められておらず、遺産分割の際に配偶者が自宅を相続しなかった場合、
他の相続人から家を追い出さてしまうおそれがあります。また、預貯金が3000万円で自宅の評価額が2000万円であるような場合は、妻が自宅に住み続けるために自宅を単独で相続すると、遺産として受け取れる現金は500万円となり、その後の生活が心細くなってしまいます。

 このように、残された配偶者が他の相続人の遺産の取り分を捻出するために住居を失ったり、相続後の生活が困窮したりすることを解消するために、改正法は自宅の「所有権」は子供が相続して、妻には「居住権」を与えます。
 建物の「所有権」と「居住権」を別個の権利として扱えるようになったため、配偶者は自宅の居住権を取得かつ一定の財産を相続することができるようになりました。

3 居住権の評価について 
居住権の評価額の算出方法はまだ確定していませんが、残された配偶者の平均余命などをもとに算出され、高齢であればあるほど安く設定されるとみられます。

4 居住権の登記 
配偶者は自宅に配偶者居住権の登記をすることができ、この登記をすることにより、登記後の自宅の取得者(転得者)にも配偶者居住権を対抗することができます(改正後の新民法1031条)。

5 配偶者居住権の施行日
配偶者居住権の施行日は、公布日である2018年7月13日から2年以内に施行されることが予定されています。

第5 結婚20年以上の配偶者に対する住宅の生前贈与の持ち戻し免除の推定規定

1 改正前
 
今回の相続法改正がされる前は、長年夫婦で居住していた自宅について、夫が妻に生前に自宅を贈与した場合においても、遺言で特別受益の持ち戻し免除の意思表示をしていない限りは、自宅の生前贈与が特別受益として取り扱われてしまいました(現行民法903条3項)。
 特別受益とは、相続人の一人が、生前、被相続人から多大な贈与を受けた場合は、遺産の前渡しとして、遺産分割等のときに、その生前の贈与分も含めて遺産分けをしなければならないことになり、結果的に妻は夫から自宅について生前贈与を受けていても、特別受益により、遺産分割のときに、その自宅の生前贈与を加味して判断されてしまうため、その分遺産分けで取得できる財産が減ってしまいました。
 今回の結婚20年以上の配偶者に対する自宅の生前贈与については、特別受益の持ち戻し免除が推定されるとして、特別受益の取り扱いを受けなくなりました(改正後の新民法903条4項)。

 そのため、妻は、夫から自宅について生前贈与を受けたとしても、特別受益として、遺産分割のときに取得できる遺産分けがその分減ってしまうという不利益を受けなくなるという点で配偶者の保護の拡大が図られました。
自宅贈与の免除の持ち戻しの推定規定は、相続法改正の改正法案の公布日である2018年7月13日から1年以内の施行が予定されています。

第6 最後に

以上のとおり、今回の相続法改正によって、配偶者の保護の拡大が図られることになりました。
今後、相続法改正の配偶者保護の拡大を積極的に活用するために、専門家である弁護士、税理士等にアドバイスを受けたうえで、自宅の生前贈与等の新制度の活用を検討されることをお勧めいたします。


★相続法改正シリーズは、以下①③④もぜひ参考になさってください。
①自筆証書の方式緩和
③遺留分制度の見直し
④預貯金の仮払い制度

 

 

 

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筆者紹介

柳沢 賢二
柳沢法律事務所
弁護士

一、弁護士として、依頼者のために、一つ、一つの案件について、専門家としての①専門性の高いサービスを、②迅速に提供することを心がけています。そして、常に依頼者のために、一つ一つの案件を全力で取り組んでいきます。

二、今、高齢者社会において、相続の問題は誰もが直面する重要な問題だと思います。今までの自分の人生の集大成を納得のいく形で終えれるように、残された家族の方々が困らないように、専門家として皆様の力になれる適切な解決方法の提案やアドバイスをしていきたいと思います。

三、相続の分野でも、紛争後の裁判所での訴訟業務だけでなく、紛争を事前に防ぐ予防法務的な視点から、遺言書の作成、任意後見・成年後見の活用、事業承継のアドバイスなどにも力をいれ、皆様の力になれるアドバイスをしていきたいと思っています。

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